株式分割をするのはなぜ?行われる理由とメリット・デメリット
少額投資非課税制度の開始により、投資家層のさらなる拡大が進むことが予想される中、企業による株式分割の動きが注目されています。株式分割といってもピンとこない人も多いかもしれない。株式投資を行っている人であればよく知っているかもしれないが、どちらかといえば、中小企業の経営者やスタートアップにとっては、会社分割や事業分離といった言葉のほうがなじみ深いと思う。企業側にも投資家側にも株式分割は利点の多い制度です。仮に所有している銘柄が株式分割された際、そのまま持っているだけで得をする可能性があります。
ここでは、株式分割がどのようなものなのか、そのメリットやデメリットとともに概観していきたい。
株式分割とは、すでに発行されている株式を分割して株数を増やすことです。企業価値は変わらないため、発行済みの株式総数が増える分、1株当たりの株価は下がります。分割によって、株式の価格が低くなり、より多くの投資家が参加しやすくなるという効果があります。通常は、1株を2株に分けるという方法で行われることが多いが、場合によっては、1株を1.248株に分割する、というように半端な係数で分割することもある。ではなぜ、会社は株式分割を行うのであろうか。その理由は大きく2つあるといわれている。
· 流動性の向上:
- 株式分割は、株価を低く抑えることで一般投資家にとって購入しやすくする効果があります。特に高額株価の株式は、購入しにくいと感じる投資家も多くいますが、株式分割により株価が低下するため、一般投資家の参入を促進しやすくなります。これにより、株主の流動性が向上し、市場での取引が活発化する可能性があります。
· 株主の期待管理:
- 株式分割は時に、企業が株価の上昇を引き起こす目的で行うことがあります。高い株価は投資家にとって好ましいものですが、株式分割によって株価を下げ、投資家の期待を上げることができるからです。企業が経済的に健全で成長可能性があるとみなされると、投資家の関心と株価が再び上昇する可能性があります。
株式分割を行うメリット
株式分割を行うデメリット株式分割のメリットを、分割を行う企業側、投資家側それぞれの観点でご紹介します。
分割を行う企業側の株式分割の主なメリットは、次の通りです。
株式の流動性を高められる
株式分割で得られる最大のメリットは、株式の流動性を高められることです。株式分割では株を買ってくれる投資家が増え、株主数が引き上げられます。株主数が少ないと、例えば株主1人が株を買うだけで株価は上がり、売るだけで下がるという状態になりかねません。株主数が増加すれば1人あたりの影響力が低下するため、株価が安定します。株価は企業の資産に直結するので、安定させることにより経営がしやすくなるのです。
配当の代替にできる
株式分割後も1株あたりの配当を変更しなければ、株主は株式分割によって新たに取得した株式数分だけ、受け取る配当が増えることになります。配当は「1株あたり20円」のように決まっています。この場合、100株保有で2,000円の配当を受けられますが、株式分割後も配当が据え置かれれば、手持ちの株数が増えた分さらに配当がもらえるチャンスがあります。仮に100株から110株に分割された場合、2,200円の配当を受けられます。
投資家側のメリット
続いては、株式分割を行うことで投資家が受けるメリットについて紹介していきます。
投資家も株式分割のメリットを理解しておくことで、その企業への投資リスクを判断することができるので理解しておくことが必要です。投資家のメリットは以下の通りです。
株主の最低購入金額が低下する
株式分割が行われることで株価が減少するため、株式の最低購入金額が低下します。結果、これまで購入できなかった投資家なども株式を購入することが可能です。このように株式分割によって株主の最低購入金額が減少するため、売買が活発に行われるのがメリットです。
株式の売買自由度が上がる
株式分割を行うことによって株式の売買単価が減少すると、値が下がっているので少しだけ買い増すことや、値が上がっているうちに少しだけ売却することができます。このように保有したい株数を計算してさらに買ったり売ったりなど、株式の売買自由度が上がります。
株式分割のデメリット
株式分割のデメリットは少ない。強いて言えば、株式分割をあまりにもしすぎると、株価が非常に低くなり、株式市場において値が付かなくなってしまう(取引が成立しなくなってしまう)ことだ。俗にいう低位株と呼ばれる株式のなかには、株価が数円となってしまっている場合もあり、その場合取引価格が1円ずれるだけで、取引の総体としては、非常に大きな影響が出てしまう。
株式分割を行う手順
株式分割を行う場合の具体的な手順は、主に以下の4つです。
①取締役会での株式分割決議
株式分割を行うためには取締役会設置会社においては取締役会での決議が行われる必要があり、以下の3点が決定されます。
・株式分割の比率とその基準日
・株式分割の効力発生日
・株式分割する株式の種類
②株主への公告
株式分割の手順2つ目は、株主への公告です。
取締役会で株式分割が決議されたら、どの時点で分割された株式が株主に割り当てられるのかを伝える必要があります。
この分割された株式が割り当てられた日を基準日と呼びます。
基準日の2週間前までには株主に対して、基準日公告を行わなければいけない法律が定められているのです。(会社法124条)
③株式分割の効力発生
株式分割の効力発生日を迎えると、株主は分割によって増えた株式が付与されます。
この際、1株に満たない端数が生じた場合、その端数を合計したものを競売等で売却した後に売却代金を株主に交付します。
④法務務局への変更登記申請
株式分割を行ってから2週間以内に本店所在地を管轄している法務局で、株式分割に関する変更登記申請を行う必要があります。
株式分割の変更登記申請を行う場合、分割する株式の比率や株式数に関係なく一律3万円の登録免許税が必要です。
株式分割を行うタイミングや割合は慎重に
株式分割には株価上昇や配当収入の増加などのメリットがあります。ただし、株価を意図的に釣り上げるために行われる株式分割は、急落の恐れがあるため注意が必要です。企業がどのような目的で株式分割するのかを必ず確かめましょう。株式分割を行う理由や、メリットやデメリットについて解説した。企業にとって株式分割は、資金調達しやすくなるというメリットがあるが、リスクもないわけではないため、株式分割するタイミングや分割割合などは慎重に検討する必要がある。株式分割を実施するときには、専門家に相談することをお勧めする。
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