デリバティブ取引とは?基礎から活用方法までわかりやすく解説!
デリバティブとは、元となるモノから派生した商品の総称です。この「元となるモノ」を原資産といいます。原資産には、株式、金利、債権、通貨などがあり、派生商品とは、その価値が原資産の価値に依存して決まる商品の総称をいいます。株式・債権・為替などの現物取引から、派生して生まれた金融取引がデリバティブ取引。先物取引、オプション取引、スワップ取引など、さまざまな種類があり、利益獲得の機会を広げています。
デリバティブ取引は、ヘッジ(企業の取引や保有する資産・負債が有するリスクを減少させるために取引を行うこと)を目的として、広く利用されています。いまもなお、多様性を拡大し続けているデリバティブ取引について、その特徴や種類、メリット・デメリットなどをまとめました。金融取引でさらなる利益を上げたいと考えているなら必見です。
デリバティブ取引の基本概念
デリバティブ取引とは、将来の価格や金利、為替レートなどの変動に基づいて行われる金融取引の総称です。これらの取引は、主に将来の価格の変動リスクをヘッジ(保護)するために行われるほか、価格変動を利用して利益を得ることも目的としています。デリバティブ取引は現物取引とは異なり、契約そのものが資産ではなく、その価値が他の資産の価格や指標に基づいて決まる特性があります。
デリバティブ取引の主な種類
デリバティブ取引にはいくつかの主要な種類があります。それぞれの取引の性質や用途について解説します。
先物取引(Futures)
先物取引は、将来の特定の日付において、一定の価格で資産を売買する契約です。例えば、農産物(小麦や大豆)、エネルギー資源(原油や天然ガス)、金属(銅やアルミニウム)などが先物取引の対象となります。先物取引は取引所で行われることが一般的であり、標準化された契約が存在します。これにより、市場の透明性が高まり、リスク管理が容易になります。
オプション取引(Options)
オプション取引は、将来の特定の日付までにある資産を特定の価格で売買する権利を与える契約です。コールオプションとプットオプションの2つのタイプがあります。コールオプションは資産を買う権利を持ち、プットオプションは資産を売る権利を持ちます。オプション取引は、市場のボラティリティが高い場合や特定のリスクをヘッジするために利用されます。
スワップ取引(Swaps)
スワップ取引は、2つ以上の当事者が互いの資産やリスクを交換する契約です。代表的なものには、利子スワップや通貨スワップがあります。利子スワップは異なる金利での借入れや貸付を行う場合に使用され、通貨スワップは異なる通貨での資金調達や投資を行う際に用いられます。
取引の当事者間で経済価値が等しいとみたキャッシュ・フローについて、将来の一定期間にわかり交換します。交換対象は、コモディティから金利、通貨など多岐にわたりますが、ほとんどが金利スワップです。
デリバティブ取引の特徴として、まずは「多様性」が挙げられます。
株式などの一般的な金融商品への投資は安い時に買い、高い時に売るという値上がりを狙った取引です。対してデリバティブ取引は値上がりだけではなく、値下がりによって利益が得られるものや、あるいは価格が上がりも下がりもしない時に利益を得られるものなどがあり、多種多様です。
またデリバティブ取引では、証拠金を入れてそれを担保に取引することができます。一般的な金融商品の取引と比べ、小さな資金で効率的な資産運用が可能であるという特徴もあるのです。
デリバティブ取引のメリット・デメリット
投資のリスク軽減や利益獲得機会の拡大などを狙って登場したデリバティブ取引には、メリットとデメリットがあります。投資の幅と可能性を広げるデリバティブ取引の代表的なメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット
先物取引を利用して取引時点で価格を確定しておくことで、商品価格の変動による損失リスクを抑えることが可能です。商品価格の値上がりを予想する場面において取引しておけば、将来価格が上がった場合でも約束した価格で購入ができるなど、何もしない場合と比較して商品価格の変動による影響を受けない取引が行えます。
現物取引と比較して、デリバティブ取引では少ない資金で大きな取引をすることができます。先物取引では「証拠金」という担保を差し入れる、オプション取引では「オプション料」を支払う、スワップ取引では「金利」の交換で取引をするなどの方法で、元本に相当する資金をすべて用意する一般的な取引よりも、少額で大きな取引が可能となるのです。
従来の取引に加えてデリバティブを活用することで、利益を出せる機会を増やせます。例えば、オプション料を払い一定額で売り買いする権利を購入するオプション取引では、利益が出せる時だけ権利行使し、損失が出る時は権利放棄するという作戦が可能となるのです。
また、日中だけでなく夜間に取引できるデリバティブ商品も生まれるなど、さらに取引の選択肢が増えています。
デメリット
少ない資金で大きな取引ができるメリットは、予想が外れた場合には、大きな損失を出してしまうデメリットになります。例えば、先物取引における証拠金を担保とした取引は、証拠金以上の多額の取引が可能であるため、損失も多額となります。自己の支払い能力以上の莫大な損失が発生してしまう恐れがあるのです。
これまで説明したように、デリバティブ取引は現物の商品そのものを対象とする取引ではなく、商品の現物取引から派生した取引です。例えばオプション取引のように「売買する権利」を取引するなど、取引の対象やルールにさまざまな違いがあるのです。
また、顧客ニーズに合わせ、デリバティブとデリバティブを組み合わせた商品なども多く開発されており、利益が出るか損失が出るか予測が複雑になっているものもあります。
デリバティブ取引の始め方
証券総合口座を開設した後にデリバティブ取引用口座を開設しましょう。職業や投資経験を問われるのでそれに回答し、取引ルール確認書類を確認する必要があります。証券総合口座から証拠金を入金します。商品によって必要な金額が異なるので、事前に確認してから手続きを済ませましょう。証拠金の入金後はデリバティブ取引を開始できます。証券会社によって入金の確認から反映までの時間が異なるので、なるべく早期に取引を始めたい場合は早めに入金を済ませておきましょう。
まとめ
デリバティブ取引は、金融市場において重要な役割を果たしています。とくに卸・小売業などは、デリバティブを使用したヘッジ取引によってさまざまなリスクを回避・抑制することで、コアビジネスである製造・販売に集中しリターン獲得に専念することができます。将来の価格変動リスクを管理し、投資家や企業がリスクを軽減するための有力なツールです。したがって、ヘッジ目的でデリバティブを行う場合には、ヘッジ手段であるデリバティブによって、ヘッジ対象である金融商品に係るリスクを適切にヘッジすることができるかを認識し、管理責任の所在を明確にしたうえで行う必要があります。投資を考える際には、自身のリスク許容度や投資目的に合わせて、慎重に取り組むことが重要です。
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