株の配当金とは?配当利回りの計算方法は?
「株の配当金は高い方がいい」と漠然と理解していても、配当金の仕組みや受け取り方、利回りについてはあまりよくわからない…という人も多いのではないでしょうか。株式投資によって資産を増やしたいのであれば、配当利回りの計算式を学んでおきましょう。配当利回りが算出できれば、配当金をどれだけもらえるかがわかります。
そもそも配当金とは?
配当金とは、企業の利益から株主に還元するお金を指します。株主が保有する株数に比例して金額が変動する仕組みで、日本企業の場合は現金で年間1〜2回支払われるのが一般的です。配当とは、会社が得た利益の一部を株主へ与えることであり、株主が投資によって利益を得る方法のひとつです。
例えば、ある会社が事業で6,000万円の利益を出した場合、そのうちの50%である3000万円を配当金に回したとします。20%の株式を持っているのであれば、株主は3000万円の20%である、600万円を受け取ることが可能です。
配当金をもらえる条件
企業の収益性:
- 利益が出ていること: 企業が配当金を支払うためには、まず企業自体が利益を上げている必要があります。つまり、純利益が生じている場合にのみ、配当金の支払いが検討されます。
決算の可否:
- 決算の可決: 配当金は通常、企業の決算が可決された後に支払われます。決算審議会や株主総会での承認が必要です。
配当政策:
- 配当政策の決定: 企業は自主的に配当政策を定めます。この政策に基づいて、配当金の支払いの頻度や金額が決められます。例えば、毎四半期、年次、または特定の期間に支払われる場合があります。
株主への還元:
- 株主への利益還元: 配当金は、企業の利益の一部を株主に還元するための手段です。そのため、株主の利益や資本の増加に寄与することを目的としています。
キャッシュフローの確保:
- 資金調達の確保: 企業は十分なキャッシュフローを確保し、業務運営や成長戦略のために必要な資金を確保した上で、余剰資金を配当金として株主に分配します。
法的規制:
法的義務: 一部の国や地域では、企業が配当を支払う義務が法的に規定されている場合があります。しかし、多くの場合は企業の自主的な決定により配当が行われます。
配当金の形態
配当金は通常、現金で支払われますが、株主に対して新株の発行や株式の分割として支払われることもあります。企業の配当政策や株主総会での決議に基づいて、どのような形で配当金が支払われるかが決まります。
したがって、投資家が配当金を受け取るためには、上記の条件が満たされることが必要です。企業の収益性や配当政策を理解し、それに基づいて投資判断を行うことが重要です。
配当利回り(Dividend Yield)は、株式投資において配当金の受取額と株価の関係を示す重要な指標です。配当利回りを計算する方法は以下の通りです。
配当利回りの計算方法
配当利回りは、次の公式を使って計算します:
配当利回り=(株価年間配当額)×100%
具体的な計算手順は以下の通りです:
年間配当額の取得
企業の公表する年間配当額を確認します。これは通常、株主に対して1年間に支払われる配当総額です。例えば、1株当たりの配当金額を知っている場合、これを年間の支払い回数(通常は4回、つまり四半期ごとに配当が支払われる場合)で掛け算して求めることができます。
現在の株価の確認
配当利回りを計算する際に使用する株価は、現在の株価です。これは取引所や証券取引所の市場で取引されている価格です。
配当利回りの計算
上記の公式を使用して、配当利回りを計算します。計算結果はパーセントで表され、投資家にとってどれだけのリターンが期待できるかを示します。
実例
例として、以下のような場合を考えます:
- 企業Aの株価が1株当たり1,000円で、年間配当が1株当たり50円である場合、配当利回りは次のように計算できます:
- 配当利回り=(100050)×100%=5%
したがって、企業Aの株を保有することで、投資家は年間で5%の配当利回りを期待することができます。
配当利回りは、投資家にとっての収益性の一つの指標として非常に重要ですが、過去の配当利回りは将来のリターンを保証するものではないことに留意する必要があります。
注意点
- 配当利回りは現在の株価と過去の配当金額に基づいて計算されます。将来の配当金額や株価の変動によって、実際のリターンは異なる可能性があります。
- 高い配当利回りがある銘柄は魅力的に見えるかもしれませんが、その背後にある企業の安定性や成長性を慎重に評価することが重要です。
- 配当利回りは投資判断の一部として考慮されるべきであり、他の財務指標や企業の戦略と合わせて全体的な投資ポートフォリオを考えるのが良いでしょう。
配当金には一般に税金がかかります。具体的には、配当金に対して課税される税金は次のようになります。
配当金が支払われる際に、一般には源泉徴収税が差し引かれます。源泉徴収税率は国や地域によって異なりますが、多くの場合、一定の税率が配当金から天引きされます。
配当金は個人の所得として課税対象となります。源泉徴収税が差し引かれた後、配当金はその他の所得と合算され、所得税の対象となります。税率や計算方法は、所在地によって異なります。
法人が受け取る場合、配当金は法人税の対象となります。一般的に、法人は配当金から源泉徴収税を差し引いた後、法人税法に基づいて課税されます。
税金の詳細や実際の税率は、所在地や投資家の個別の税務状況によって異なりますので、具体的な税務アドバイスは税理士や専門家に相談することをお勧めします。税金は投資リターンに影響を与える重要な要素であり、投資判断の際には考慮する必要があります。
株価と配当金には次のような関係があります。
株価は配当金と同額分、下落する可能性がある
会社が増配を発表すると、株価が上がることが多い
株主が配当金をもらえる権利確定日の前日、権利落ち日には理論上、得られるお金の分だけ株価が下がる可能性があります。配当金をもらえることには良い面だけではなく、株価が下がるリスクという悪い面もあるのです。
会社が配当金を増やす動きをとると株価が上がるのは、業績が良いからという理由があります。
配当を増やし続ける会社はそれだけ毎年の業績が好ましい状態にあるので、長期の投資を考える場合は、そういった躍進中の会社を視野に入れても良いでしょう。
おわりに
株式を購入する際は、配当利回りを見るとともに、投資先の業績が悪くなっていないか、株価が下がっていないかなどについても必ず確認しましょう。
なぜなら、配当利回りは、現在の株価と会社側が発表した配当金の金額から求められるからです。業績悪化が予想されて株価が下がると、配当利回りは高く算出されます。したがって、投資を検討する際には、配当金の水準だけでなく、企業の全体的な健全性や将来の見通し、業界や市場の状況、税務影響など、多角的な視点から判断を行うことが重要です。配当利回りが高いからと言って自動的に良い投資先とは限らないことを覚えておくことが重要です。
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